50代になったら若い人に積極的に会うべき理由 実は「今、起きている変化」を知るために重要

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先の先を読んで未来を予測することは、トランプや麻雀のようなものだといってもいいかもしれません。「場に出ているもの」と「手元の札」を見ながら、自分の周囲や対峙している相手にこれから何が起きるのかを考えるのです。

トランプや麻雀にたとえていることからもわかるように、私は自分の「先の先を読む思考力」が完全なものだとは思っていません。未来を予測しようとするときは、ほとんど真っ暗な中にいるようなものです。しかし暗闇の中でも幾筋か、光の筋を見つけることはできます。

その光の筋を束ね合わせ、「ほぼ確実な未来」や「起きるかもしれない未来」を見出していくのです。

これは、一筋の光もない真っ暗闇にいるより、はるかにマシなやり方だと思います。いくつかの光の筋を追っていけば、これから進もうとする道の先に何があるのか、自分の予測を日々修正していけるからです。そしてそのように日々を重ねていけば、結果的に正しい道を選んで歩んでいけるのではないかと思うのです。

「先の先を読む思考力」を鍛えて未来を予測しようとし続ける人は、そのような努力をしない人やあてずっぽうで生きている人よりも、ビジネスや投資で成功しやすいでしょう。

情報のスピードが重要とは限らない

投資で勝つためには、いかに他の人よりも素早く情報を得るかが重要だと考える人は少なくありません。しかし投資の世界では、必ずしも情報のスピードが重要なわけではありません。これが、投資が面白く素晴らしいところです。

例えば、スティーブ・ジョブズが「今日、アップルが電話を新たに発明します」と言って、初代iPhoneを発表したのは2007年1月のことでした。
このときに「iPhoneはきっと世界を変える」と信じてApple株を買っていたとすると、2022年1月時点でおよそ53倍になった計算です。為替レートを考慮せずにざっくり言えば、「100万円投資していたら5300万円になった」わけです。

初代iPhoneの発表は、誰もが知ることのできた事実です。そこからもたらされた世の中の変化は、決して「早耳情報」ではありません。もしもみなさんが「iPhoneという商品を多くの人が肌身離さず身につけて使うようになる」ことや、「iPhoneが多くの人に支持され続ける」ということを、一人の生活者として確信し、Appleに投資していれば、何十倍にも資産を増やせたわけです。

「プロの投資家はきっと特別な情報を得て株式投資をしているのだろう」と邪推する人もいますが、情報開示の透明性が強く求められる昨今、「一部の人だけが知るおいしい情報」などというものはありません。実際のところ、投資の成功に直結するような「早耳情報」は存在しないのです。

それでは「先の先を読む思考力」を身につけるにはどうすればいいのかといえば、Appleの例からもわかるように、「今、起きている変化」を知ることです。そして、そこから「5年後、10年後の世界がどうなっているのか」を自分の頭で考える習慣を身につけることこそ、重要なのだと思います。

もし「足元の小さな変化」から5年後、10年後の世界をクリアに思い描くことができれば、先回りしてじっくり投資をすることもできるでしょう。

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