過熱化する不倫報道「書き放題」の残酷すぎる現実 脳科学者・中野信子×国際政治学者・三浦瑠麗
なぜ「不倫」はこんなにも注目されるのか
中野:ここ10年くらいですかね。不倫が原因でそれまで活躍していた世界を去ることになったり、謝罪会見をすることになったり、いわゆる「世間」から指弾されて社会的制裁を受ける有名人が増えた気がするんですよね。
三浦:そうですね。
中野:それってなんでなんだろう?というのが私にはずっとあって。不倫はもちろん、配偶者から訴えられれば法的な問題になりますけど、姦通罪があった昔とは違って今は違法行為ではないですよね。
コンプライアンス意識が強くなったとか、ネット社会で相互監視が厳しくなったから見つかりやすくなったとか、いろいろな要素があるとは思うのだけれど、なぜそんなに不倫が注目されるんだろうと思ってたんです。
三浦:一方で、不倫をしている「有名人でない人」はけっこう多そうですが。
中野:あはは。そうね。昔ながらの既婚男性と若い未婚女性という組み合わせもあれば、W不倫もあれば、既婚女性と若い男性の組み合わせもある。職場内不倫もあれば、かつての同級生や恋人との焼けぼっくい不倫もあれば、出会い系での不倫に幼稚園や保育園の送迎から親同士や先生と発展する不倫なんてのもあるらしい。
パパ活、ママ活といった金銭を伴う関係までを不倫と言っていいのかわからないですけど、出会いの数だけ不倫があると言ってもいいくらいに思いますし、「実際にはすごく多いんじゃない?」というのが実感なんですよね。それなのに、有名人となると社会的地位を失うまでに叩かれる。
三浦:2020年の「ジェクス」ジャパン・セックスサーベイによれば、現在パートナー(恋人や結婚相手)以外の人とセックスをしている割合は、セックス経験者のうち男性の41.1%、女性の31.4%にのぼったそうです。すべてがいわゆる「不倫」というわけではありませんが、想像より多い数字ですよね。
20~30代が高いので、付き合っているカップルの状態での「浮気」が多いんでしょうけれども。一方で、パートナー以外としたことがないと答えた人は60代女性が最多で70.2%。年代もありますよね。私たち以下の世代で不倫したことがある人の比率は実はこの数字とそんなに変わらないんじゃないかと思います。