リモート生活で部下を追い詰める前にすべき6つ 1日1回は画面越しでも必ず部下と顔を合わせる

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4) 部下が相談できる体制を整える

「なんでも相談して」というだけでは、不十分。何でも、といわれるとかえって相談がしにくいという声は多く、また、相談したら「そんなこと自分で考えて」といわれてしまい、依頼、一切相談できなくなったという相談は多い。上司自身に余裕がないこともあるとは思うが、その場合は、自分の状況を伝えるなり、別の機会を設けることが大切。

5)タスクを視覚化し部下と進捗を共有する

タスク整理・進捗を共有可能にし、関係メンバーがリアルタイムで課題を把握できるようにする。定期ミーティングを設定し、細やかにコミュニケーションの機会をとる。メンバーが自由に交流できる機会を作る。

6)上司自らもセルフケアを心がける

部下のケアや指導など、上司の負担も増えている今、上司自身のゆとりがなければ他者を思いやる余裕も生まれない。リフレッシュ方法や、問題が起こったときの相談先など、普段の生活の中で準備、確立しておく。

日常的な会話も織り込む

そして、具体的には「ミーティング時はカメラオンで、顔出しをしてください」などもふまえて細かくルール決めをし、事前に告知することも大切です。いきなり「なんで顔出ししないの?」などと注意してトラブルになるケースもあります。

また、仕事の進捗だけでなく「お昼に何を食べたか」「最近、興味を持っていること」など、日常的な話題も織り込んでいきましょう。社内で会話をしているときのいわゆる雑談ができなくなったために、孤立や孤独を訴えるケースが後を絶たないからです。

プライベートに踏み込むなんて怖くてできないという思われる方がいるかもしれませんが、この程度は日常会話であって、プライバシーに踏み込むこととは違います。もし、相手が答えにくそうにしたなら話題を変えればよいだけの話です。天気の話と業務の話しかできないようであれば、ちょっと気になっていることの相談なんてできません。部下の人となりを知り、交流を深めていくためにも、少しずつ距離を縮めていかれたらと思います。

画面越しであっても顔を見て会話することで安心感も生まれます。離れた場所で働いていると会話が減り、どうしても部下が上司に相談するハードルが高くなってしまいます。わざわざ相談するのではなく、いつもできるようにする環境づくりが重要です。

新しいメンバーには手厚くしても、従来のメンバーをおろそかにするということのないよう、平等性も大切です。また、人数が多くて1on1が難しい場合もあるとは思いますが、ほかのメンバーの前では、相談しづらいという声は多くあります。ですので、グループでのミーティングとうまく併用をしていくことが大切です。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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