高い買い物ほど「直感で」決めたほうがいい理由 逆に安い買い物は熟慮し買うほうが後悔しない

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私たちが、消費者として買い物をするとき、シャンプーなどの安い日用品を買うときには、何も考えずに適当な商品をさっさと選ぶのに、自動車やマンションなどの高額な買い物をするときには、じっくりと考えて、考えて、考え抜こうとするのが一般的です。

けれども、心理学的に言えば、そういうやり方は大間違い。

むしろ逆に、日用品のほうはしっかり考えて、高い買い物をするときには、直感的に、あまり悩まず、自分がピンときたものをそのまま選んだほうがよいことを知っておくとよいかもしれません。

なぜかというと、そのほうが後悔しないから。

高い買い物をするとき、熟慮に熟慮を重ねると、かえって迷いが生まれ、購入した後で、「本当に自分は正しい選択をしたのか?」「やっぱりほかのほうがよかったのかも?」と悩むことになります。それが大きな後悔を生み出すのです。

高級家具店と日用品店で調査

オランダにあるアムステルダム大学のアプ・ディクステルホイスは、高級家具店にやってきたお客さま27名と、日用雑貨店にやってきたお客さま27名に、購入後に声をかけて、何を買ったのか、買う前にどれだけ悩んだのかを聞きました。さらに連絡先を尋ねて、数週間後に、「あのときの買い物にどれくらい満足していますか?」と聞いてみました。

ディクステルホイスは、どれくらい悩んだのかを中央値で、高い人と低い人にわけ、「悩んだ人」と「悩まなかった人」に分類し、それぞれの後悔の大きさを比較してみたのです。

すると、高級家具店で買い物をした人では、「悩まなかった人」のほうが満足度は高く、日用雑貨店の買い物客では、「悩んだ人」のほうが、「いやあ、いい買い物をした」と満足度が高くなることが明らかにされたのです。

安い日用品を買うときには、「こちらの商品のほうが10円安い」とか、「こちらの商品のほうがカロリーは低い」というように、じっくり考えてよいのです。むしろ、そうしたほうが買い物後には、ものすごく満足できるでしょう。

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ところが、高額な買い物のときには、そういうことをしてはいけません。

「なんとなく、これ!」とパッと選んでしまったほうが、購入後にも後悔することがありませんから、ぜひそうしてください。

悩めば悩むほど、どれを選んだらよいのかがわからなくなりますし、「隣にあったもののほうがよかったかも?」「セールを待ったほうがよかったかも?」と大いに悶々とした気分を味わうことになってしまいますよ。そういう気分を味わいたくないのなら、とにかく直感で選んでしまったほうがいいのです。

心理学のお勉強をしていると、こういう知識も得ることができますし、「買い物上手」にもなることができるのです。まことに有用で、便利な学問だと思いませんか。

内藤 誼人 心理学者、立正大学客員教授、アンギルド代表取締役社長

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ないとう よしひと / Yoshihito Naito

慶応義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に『世界最先端の研究が教えるすごい心理学』(総合法令出版)、『いちいち気にしない心が手に入る本』(三笠書房)、『図解 身近にあふれる「心理学」が3時間でわかる本』(明日香出版社)など多数。その数は200冊を超える。

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