銃撃受けたシャルリー、最新号発行の舞台裏 14日発売号は300万部を販売
1月12日の夜9時10分頃、「シャルリー・エブド」紙のスタッフの間で笑い声と喝采が起こった。その後すぐに、皮肉っぽいが喜びにあふれた声が上がった。
「アッラーは偉大なり」。
スタッフが喝采を送っていたのはレナルド・ルジエ。彼は何度も試作を繰り返したのち、スタッフが完璧だと思う表紙を完成させた。この表紙はシャルリー・エブド紙史上で最も待ち望まれた、1月14日発行号に掲載される。
「われら表紙を決定したり」。トップの編集陣のひとり、ジェラール・ビヤールは間に合わせのニュースルームから笑顔で出てきながら、新しいローマ法王が発表されるときのフレーズをまねて言った。ビヤールによると、今号の表紙にぴったりの絵を見つけるために「われわれは『何を言いたいのか』『何を言うべきなのか』『どのように言うべきか』と自問した」という。ただし、「テーマについては、残念ながら迷う余地はなかった」。
左派系新聞社の会議室で作成
銃撃犯がシャルリー・エブドで12人を殺害してからわずか2日後の1月9日、厳重な警備の下、同紙の約25名のスタッフが左派系の日刊紙「リベラシオン」のオフィスに集まった。次号の編集作業を行うためだ。彼らはまだショックを受けていた。加えて、自分たちが長年あざ笑ってきた政治的、宗教的体制において、表現の自由を象徴する英雄になったことに混乱を感じていた。
編集者らは最新号の中身を秘密にしていたが、表紙は犯人グループらの矛盾を突くものとなるのでは、と見られていた。
最初の編集会議でまず語られたのは記事の企画ではなく、殺された同僚の思い出と負傷した仲間の近況だった。そして、マニュエル・バルス首相とフルール・ベルラン文化・通信大臣の突然の訪問もあった。「ル・モンド」(フランスの代表的な夕刊紙)よりも「ザ・オニオン」(パロディを中心としたアメリカのメディア)に近い新聞としては異例のことだ(また、同紙は政治家をインタビューするよりも、批判しそうな新聞でもある)。