「他国に守ってもらおうなど甘すぎる」歴史の教訓 「台湾民主国」で何があったか知っていますか

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他力本願がいかに危険かは、歴史が物語っています(画像:Ystudio/PIXTA)
日本からほど近い台湾に、かつて「中国の一部」であり続けることを目標にしていた国があったことはご存じでしょうか? その名は「台湾民主国」。
「滅亡した国の歴史を学ぶと、時に現在の世界情勢と真逆の姿に出合うことも。なぜ180度の方針転換を迫られたのか、そこには現代人が学ぶべき『教訓』が数多く存在する。とくに世界激動の今、『他国との関係性』について台湾民主国は重要な教訓を教えてくれる」と話すのは『世界滅亡国家史』の著者ギデオン・デフォー氏。同書より、「台湾民主国」を取り上げます。
前回:クリミア併合に何の意味があったか知ってますか(4月4日配信)

中国のような広大な領土を誇る大国であっても、冷静でいられない話題が1つや2つはあるものです。「台湾」はその1つで、「1つの中国」を主張する中華人民共和国は、台湾と諸外国との関係に神経を尖らせています。日本の皆さんはよくご存じでしょう。

しかし皮肉にも、今回取り上げる「台湾民主国」(別名、フォルモサ共和国)は、中国の一部でありつづけることを唯一の目標にしていた国で、現在の政治的な争いとは正反対の希望を持っていました。

(出所)『世界滅亡国家史』(サンマーク出版)

「オランダ」の植民地から「清」の一部に

「フォルモサ」という別名の起源は16世紀なかばにさかのぼります。あるポルトガルの貿易船が台風で進路からそれ、この島の東岸を通り過ぎたときのこと。乗組員の1人が島の光景に感動して「イーリャ・フォルモーザ」(美しい島)と呼び、それが島の名前として定着しました。

その後、この島はオランダの植民地になり、次いで清王朝の一部となります。フランス人のジョルジュ・サルマナザールという人物が『台湾史』(1704年)で島民の奇妙な習慣を紹介すると、ヨーロッパ中で台湾という島が話題となりました。しかし、この本で取り上げられたのは、「蛇が主食」「毎年1万8000人の少年が生け贄となる」などでたらめばかりではありましたが。

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