マンションは入居時点では「未完」とプロが言う訳 アフターサービス活用が修繕費削減につながる

拡大
縮小

期間としては原則、不適合の発見から1年以内、宅建業法(宅地建物取引業法)上では引き渡しから2年を経過するまでと決められている。他方、任意のアフターサービスでは、3、6カ月、1、2、5、7、10年を節目に実施されるケースが多い。

また品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)により、住宅の性能は10年間担保されている。ただ構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分に限定した保証となっている。アフターサービスのように広範囲に対応されるわけではない。

個別のアフターサービスと契約不適合責任などの法律とは別のものであり、不具合についての対応、サービスの期間などは異なることを覚えておきたい。

2年目のアフターサービスが修繕積立金削減のカギに

新築マンションのアフターサービスにおいて、重要になるのが2年目だ。保証内容はそれぞれの箇所によって短期のもの長期のものが設定されている。内容については新築マンションを購入した際、不動産売買契約書に添付される「アフターサービス規準書」で確認できる。するとほとんどの場合、多くの項目で短期保証が終了する時期が「2年目」であることに気がつくはずだ。

例えば屋上や屋根の屋内への雨水の浸入(雨漏り)などの保証は10年が一般的なのに対し、排水不良やふくれ、ひび割れなどは2年で保証切れとなっているケースが多くある。基礎や柱部分のモルタル面、タイル張などの亀裂や浮き、はがれなどの軽微な現象は2年目以降、保証の対象外となる場合がほとんどとなる。

これらの不具合は専有部のみならず、共用部で発生している。この時点での軽微な不具合を放置し、劣化がどんどん進行すると大規模な工事でしか改善できなくなる。将来的に大がかりな修繕工事が必要になり、コストもかさむリスクも高まるといえる。

3カ月から1、2年目のアフターサービスまでは売り主側から通知がある場合も多く、最小限の交渉で済み、なおかつ無償で修繕される可能性が最も高い時期ともいえる。それ以降になると、通知が来ないケースが多い。アフターサービスを最大限有効活用する意味では、2年目は大きな分岐点となる。

新築マンションは、実際に入居しなくては住み心地や不具合がわからないものだ。実際に住んでこそわかる不具合もある。そのために、本来、無償でメンテナンスしてもらえるのがアフターサービスであり、当然の権利なのである。

しかしアンケートで不具合を申告しなければ、せっかくの機会を逃してしまうことになる。気になる不具合を積極的に伝えることをおすすめする。

次ページアフターサービスの起算日はいつ?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT