パウエルFRB議長の米景気見通しは楽観的すぎる 昨年の物価見通しの失敗に続き再度の間違いも

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昨年の今頃、パウエルFRB議長のインフレへの認識はかなり甘かった。今の景気についての見通しも楽観的すぎるかもしれない(写真:Abaca/アフロ)

アメリカのインフレは今後も高止まりしそうだが、金融当局がインフレ退治のために利上げを急ピッチで進めると、景気後退を招くのではないか……。今後、市場の注目は徐々にインフレから景気動向に移っていく可能性がある。

3月はパウエルFRB議長が株高を演出

まず、改めて3月の中旬からの動きを振り返ってみよう。連邦準備制度理事会(FRB)は3月15~16日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準を年0.25~0.5%と、従来の0~0.25%のレンジから0.25ポイント引き上げた。

足元でインフレが40年ぶりの高水準に高止まりする中、2018年12月以来となる利上げに踏み切る格好となった。利上げ自体は3月初めの議会証言でジェローム・パウエル議長が明言していたこともあり、市場にはほぼ織り込み済みだった。だが、決定に関してはセントルイス連銀のジェームス・ブラード総裁が0.50ポイントの利上げを主張して反対票を投じたほか、声明文には今後の会合でバランスシートの縮小を開始する見通しであることが盛り込まれており、予想よりもタカ派的だったと受け止めてよい。

同時に発表された、ドット・チャートと呼ばれているFRB高官による政策金利予想でも、16名中12名が2022年には今後すべての会合で0.25ポイントの利上げが行われるとの見通しを示している。

そのうちの7名は少なくとも1回は0.50ポイントの大幅利上げが行われるとするなど、FRB内で「積極的に利上げを進めるべき」との意見が一段と強まっていることを示した。2023年や2024年に関しても、5名は政策金利が3.0%を超えるまでに引き上げられるとの見通しで、来年以降も利上げを継続せざるをえないほどに、足元のインフレ圧力は強いとの認識が示されることとなった。

一連のタカ派的なサプライズがあったにもかかわらず、その後の株式市場はかなり強気の反応を見せたのはご存じの通りだ。NYダウ工業株30種平均は声明文の発表直後こそ大きく売りに押されたものの、その後急速に買いが集まり、結局は600ドル以上反発してその日の取引を終了。S&P500種指数やナスダック総合指数は週間では2020年11月以来の大幅な上昇を記録した。結局、この大幅な株高を演出したのは、声明発表後のパウエル議長の会見発言だったようだ。

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