もしFRBの利上げが0.25%でも喜んではいけない 15~16日のFOMC後の市場はどう動くのか?

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15~16日開催のFOMCでの0.25%の利上げは確定的。FRBのパウエル議長はどんな発言をするのか(写真:ブルームバーグ)

3月15~16日に開催されるアメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)後の政策に市場の関心が集まっている。

FRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長は3月2~3日の両日、同国の上下両院で半期に一度の金融政策に関する議会証言を行った。ここで、すでに同議長は緊迫の度合いが高まるウクライナ情勢について「アメリカの景気への影響は極めて不透明」と、強い警戒感を示したものの、一方で15~16日のFOMCでは「0.25%の利上げを提案するのが適切」との見通しを示している。

ロシアがウクライナへの侵攻を開始するまでは、市場は0.5%の大幅利上げを行う可能性をかなり織り込んでいた。だが、ウクライナ情勢悪化を受け、3月の利上げ見送りの可能性も含めて金融引き締めのペースを緩めるのではとの見方が浮上するなど、金融政策に対する先行き不透明感が急速に高まっていた。利上げに関して明確な方針を示したことで、パウエル議長はひとまず市場を安心させることができたようだ。

大幅利上げ見送りで、次回以降引き締めペース加速も?

もっとも、これでFRBによる金融引き締めのペースが安定するとは考えないほうがよい。確かに今回のFOMCでの大幅利上げは恐らく見送りとなりそうだ。だが、その分5月や6月のFOMCで大幅な利上げに踏み切らざるをえなくなる可能性は、むしろ高まったのではないか。

そのカギを握るのは、やはり物価動向だ。ジョー・バイデン大統領はパウエル議長の議会証言の前日の3月1日に就任後初となる一般教書演説を行った。そこでは、インフレの抑制が政権の最優先課題であることを強調、「消費者にインフレの痛みを味わわせることはしない」と述べた。

裏を返せば、この先インフレがさらに進むことがあれば、バイデン大統領の支持率が一段と低下、政権の命取りになりかねないとの危機感が、ホワイトハウス内に高まっているということだ。大統領の意向もあり、FRBがインフレの抑制に重点を置いた方針を進める可能性は、極めて高いと考えておいたほうがよいのではないか。

一方、4日に発表された2月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から67.8万人増と、40万人前後としていた事前の市場予想を大幅に上回った。また1月や昨年12月の増加数も上方修正されただけでなく、失業率も3.8%に低下した。これは新型コロナウイルス感染拡大が始まる直前の2020年2月以来の低水準であり、雇用が引き続きしっかりと回復していることを確認する内容だったと言える。

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