50代まで万年課長だった男が華麗に転身できた訳 ふとした契機に自分の可能性を信じて踏み出した
浜崎さんは1冊のノートを取り出した。ノートの横軸には月曜日から金曜日までの1週間の日付、縦軸にスタッフ全員の名前が書かれていた。
「課長ですから、部下たちから仕事の報告や相談を受けることはありますけど、私から1人ひとりに話しかける機会を、少なくとも週3回は持とうと決めたんです。私自身、上司から声をかけられると、うれしかったですから、まずはそこから始めようと思いまして。
このノートを広げて机の上に置いて、誰もが見られるようにしておけば、『これって何ですか?』って聞いてくる部下がいる。自分のやっていることを“見える化”すれば、部下たちが上司になった時、何かの役に立つんじゃないかなぁと」
こう楽しそうに話してくれたのだった。
その1年後、浜崎さんは転職を決意する。その間、キャリアセミナーやら、朝活やら、会社も、年齢も、職業も違う人たちと接する機会を積極的に持った。名刺を交換する必要のない集まりは、学びにあふれていて楽しかったそうだ。彼の心で止まっていた“装置”が動き出した。
「光」だ。そう、彼は自分の可能性を信じ、「新天地でもう一踏ん張ろう!」と一歩踏み出す決断をしたのだ。
新天地で一兵卒からスタート、課長→部長に
採用人数がごく少数に限られている厳しい試験だったが、“万年課長”は見事に合格した。管理職ではない。ただのヒラ。セカンドキャリアは、年下の上司の元で、一兵卒としてスタートした。
ところが、その数年後、浜崎さんから「予想外の昇進!」と題されたメールが届いた。メールに添付された名刺の写真には、「〇〇一課 課長」の肩書きが記されていた。そして、今年1月。 「来年度、ついに万年課長を卒業するかもしれません」と連絡がきた。3月中旬、ついに“続報メール”が届き、な、なんと「部長」の名刺が!
椅子取りゲームから弾き出され、年下からバカにされ、腐っていた万年課長が、65歳になった今、ついに「部長」に昇進したのである。
人生は螺旋階段。グルグル同じところを歩き回っているようで、実は進んでいる。
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