「相続増税」スタート、身構える家持ち世帯 もう遺産5000万円から意識してもいい
遺産5000万円というハードルは、思っている以上に低い。相続財産に占める構成比を見ると、土地が4割超を占める。親に預貯金が少なくても、都市圏で庭付き一戸建てを所有していれば、まず要注意だ。
税理士法人レガシィが14年路線価をベースに、相続税額を試算したシミュレーションがある(子2人による二次相続。遺産総額は50坪弱の一軒家、金融資産2076万円、その他197万円の前提)。首都圏沿線では、千葉の地下鉄東西線・妙典駅(相続税額262万円)、埼玉のJR埼京線・武蔵浦和駅(同214万円)、神奈川のJR京浜東北線・鶴見駅(同226万円)付近などが、初めて課税される地域と見なされた。
節税あの手この手
国税庁によると、年間の被相続人(死亡者)数は高齢化社会を反映し、04年の103万人から13年に127万人へ増加。被相続人のうち課税対象者数も4.3万人から5.4万人へ増えた。この結果、13年の課税割合は、全国で4.3%(12年4.2%)、地価の高い首都圏では7.4%。東京都千代田・港・渋谷区に限ると約20%に上り、今や5人に1人が対象者である。
相続を迫られる人は、確実に拡大しているのだ。
この増税を前に、納税する側も、最低限知っておくべきことがある。「配偶者の税額軽減」では、妻の相続は取得金額のうち法定相続分(2分の1)まで非課税と優遇され、「小規模宅地等の特例」では、330平方メートルまでの居住用住宅であれば、敷地の評価額が80%減額される(子と同居が条件)。これらが適用されるかどうかで納税額が大きく違う。
代表的な節税策はほかにもある。昔から注目されているのが生前贈与だ。
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