躓いたサムスン、成長軌道復帰への苦闘
2014年は9期ぶり減収、3期ぶり減益

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「サムスンショック」を強く印象づけた2014年第3四半期(7~9月期)、スマホ事業を含むIM事業の売上高は24.58兆ウォン、営業利益は1.75兆ウォンにまで落ち込んだ。2014年第4四半期にも営業利益は2兆ウォンを切る水準とされている。これを微増とみるか、横ばいとみるかは見方が分かれる。

だが、韓国証券界では「回復へのはっきりとした道筋はまだ見えてこない」とし、「2015年第1四半期(1~3月)の状況次第」と判断を先送りする雰囲気が広がっている。

というのも、サムスンにとっては2つの好材料が2015年第1四半期に控えているためだ。一つは、最高機種である「ギャラクシーS6」の発売を2月に予定しており、前人気としてまずまずな手応えを得ているとされている。

スマホ新製品にかける期待

そして、低価格帯であり自社開発OS(基本ソフト)「Tizen(タイゼン)」を搭載した機種が、インドなどで投入される。いわゆる「タイゼンフォン」は1万円台の低価格だが、インドにはさらにギャラクシーAシリーズ(約4万~5万円台)、同Eシリーズ(3万円台)の中価格帯の製品も投入する予定。稼ぎ頭の中国市場では、新興の小米科技(シャオミ)との激しい競争を強いられている中、巨大市場となるインドで確かな橋頭堡を得る戦略だ。

同時に、「サムスンショック」の大きな原因の一つとされた在庫過剰も、第4四半期に解消された模様。また、戦略的に投資されていたマーケティング費用も2015年第1四半期には減少することが考えられる。

一方で、世界のスマホ市場が中・低価格帯のもので再編する時期を迎えている。中国を除く新興国でギャラクシーシリーズがどこまで攻略できるか。世界シェアでもトップはキープしているものの、数字は減少しているのが現実。好調な半導体事業を核に、スマホなどIM事業のてこ入れと医療やバイオなど新規事業の拡充がどこまで進むか。2015年はサムスンにとって、まさしく正念場の年となりそうだ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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