自動車業界は今、大変革のただ中にある。欧米メーカーはこぞってEVシフトを宣言。米グーグルや米アップル、台湾の鴻海(ホンハイ)など、異業種の参入で産業構造が変わり始めている。
トップメーカーのトヨタ自動車は変化の波に乗り、王者であり続けられるのか。次世代技術開発のカギを握り、次期社長の呼び声が高いジェームス・カフナー氏に聞いた。
──世界でEVシフトが進む一方、トヨタはハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)を含めた全方位の電動化を掲げています。
忘れてはいけないのは、電動化の目標はカーボンニュートラル(以下、脱炭素)であり、EV自体が目的ではないということだ。EVが脱炭素を加速させ達成する道の1つであることは確かで、私はエキサイティングな方法だと思っている。ただ、世界中のモビリティの未来を考える方法はほかにいくつもある。
1つ例を挙げよう。EV1台分のリチウムイオン電池があれば、プラグインハイブリッド車(PHV)を3台製造できる。PHVは(EVモードで約100キロメートルの走行ができるため)通勤による移動需要の90%を排出ゼロにすることができる。このように、トヨタは脱炭素に向けて新技術を用いた多面的なアプローチをしていく。
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