大化けする「すごいベンチャー」はどこだ。毎年恒例、『週刊東洋経済』での最新100社の発表を前に、過去の「すごいベンチャー」選出後に急成長した企業のリポートや注目投資家のインタビューを随時掲載する。
特集「すごいベンチャー100 2021年版」の他の記事を読む
――アメリカや中国と比べ、今の日本のベンチャーを取り巻く環境をどう評価していますか。
それぞれの国が独自の進化を遂げているが、日本はまだ成長初期のフェーズだ。1つ特徴があるとすれば、トレンドに引っ張られがちということ。例えば今はSaaS(Software as a Service)ばかり注目されている。フリーは今でこそSaaSの代表的な会社になっているが、僕らが投資した2012年当時、SaaSという言葉を使う人はいなかった。
この現象は”デジャブ”のようだ。2010年代前半、日本ではソーシャルゲームが大流行し、どのベンチャーも消費者向け、それもゲームかグルメをやろうという話だった。こんな会社でこんなに高いバリュエーション(企業評価額)がつくのかと。これは自分がやりたい世界じゃないと感じた。
DCMはその後5年ほど、BtoBのクラウド領域にしか投資しなかった。僕は新卒で三菱商事に入社したが、当時は商社出身者がベンチャーに流れ始めたタイミングだった。彼らが商機を見いだしたのはBtoCではなくBtoB。そうした(ビジネスの経験が豊富な)人たちが注目しているという意味で将来性のある分野だと思った。
さらにアメリカではクラウドが当たり前になり、SaaSの代表格であるセールスフォース・ドット・コムも急成長していた。日本にもクラウドが来ないわけがないと思い、そこからフリーやSansan、ビザスクなどに投資対象を広げた。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら