初の純利益1兆円超えを達成したが、いまだエレキのリストラは続く。次なる狙いは「掛け算」の経営だ。強みのエンタメとのシナジーを徹底的に追求する。
「業績は確かに好調だ。しかし、いいことばかりではない」と、浮かない顔なのはソニーグループの中堅社員だ。所属するエレクトロニクス関連の部署で早期退職募集が相次いでいる。
商品設計を担当するソニーエンジニアリングでは2020年秋、カメラなどを扱う旧ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズと営業を担うソニーマーケティングでは同年12月に、45歳以上を対象とする早期退職募集が始まった。足元でもエレキ関連の部署で今年12月末までの早期退職募集が行われている。人員削減を進める理由についてソニー側は「エレキ事業では今後も安定した利益を創出できるよう、販売会社や製造事業所の一体運営を強化し、効率化に努めている」と説明する。
リストラを進める一方で、ソニーの業績は絶好調だ。21年3月期は6つの事業のうち、米中摩擦の影響を受けた半導体事業を除く5事業が増益。保有株式の評価益258億円を上乗せし、純利益が初めて1兆円の大台を突破した。
社員への還元も大盤振る舞いだ。21年度の年間ボーナスは労働組合側の要求を上回る7.0カ月分という、かつてない高水準に。4566億円もの最終赤字に沈んだ12年3月期のどん底から約10年。苦労がようやく実を結んだ。
63年ぶりの社名変更
それでも冒頭のような人員削減を進めるのは、ソニーという「電機企業」が変身しているからだ。
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