意思決定の場で、プレッシャーなく意見を表明するには、少なくとも3割の人数が必要だ。
今年になってから「女性」と「数」に関するニュースが相次いでいる。
年明けには丸紅が2024年までに新卒採用に占める女性の比率を4〜5割にすると発表。2月、森喜朗・東京五輪パラリンピック大会組織委員会会長の辞任につながる“森発言”も、スポーツ庁が示した競技団体の女性理事を40%にする数値目標であり、女性が増えたことを揶揄したものだった。さらに4月に発足した東京大学の新執行部の過半数が女性になったことも反響を呼んだ。
政府が「2030」目標で掲げた、20年の指導的地位における女性比率30%は先送りされたが、組織における多様性の重要性は、さすがに多くの企業で認識されつつある。今後労働力人口が減ることもあり、女性にできるだけ長く働いてもらいたいと、仕事と家庭の両立支援制度の整備も進んだ。歩みは遅いが女性を積極的に管理職に登用し始めた企業も増えてきた。問題はスピードと規模だ。
集団の中で、存在を無視できないグループとなるには一定の数が必要であり、その分岐点を超えたグループは、クリティカルマスと呼ばれる。米ハーバード大学のロザベス・モス・カンター教授の研究では、特定のグループの比率が「15%以下」だと、その人たちは“お飾り、象徴”になり、目立つが孤立する苦しみを味わうとされている。「25%」でもまだ“マイノリティー”、「35%」を超えて初めて組織の中で公平な機会が得られるようになるという。
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