女性活躍、輝く女性──。こうした国や企業の掛け声の下、急速に進んだ女性の社会進出。しかし、それによって、ジェンダー平等社会は実現したのか。社会学者でジェンダー研究のパイオニア、上野千鶴子氏に聞いた。
──1985年の「男女雇用機会均等法」成立以降、女性の職場進出は進みました。以来36年。働く女性の地位は上がりましたか。
上がっていない。均等法に男女差別を是正する実効性がないというのが、専門家の共通見解だ。
均等法の施行後、企業は雇用における女性差別を、総合職と一般職という、コース別人事管理制度を導入する“雇用区分差別”に置き換えることで切り抜けた。つまり、前者は100%近く男性プラスわずかな数の女性、後者は100%女性が就職するように仕向け、実態をほとんど変えることなく「機会均等」を実現した。
そして長びく平成不況の間に一般職は解体され、彼女たちは不安定な非正規労働者に置き換えられていく。そして非正規職は、均等法の対象にならない。
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