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「女性を無駄遣いする国は、ゆっくり二流に墜ちていく」 インタビュー/社会学者 上野千鶴子

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うえの・ちづこ 1948年生まれ。京都大学大学院修了(社会学博士)。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。女性学・ジェンダー研究のパイオニア。著書に『家父長制と資本制』(岩波現代文庫)、『女ぎらい』(朝日文庫)、『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)など多数。(撮影:梅谷秀司)

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女性活躍、輝く女性──。こうした国や企業の掛け声の下、急速に進んだ女性の社会進出。しかし、それによって、ジェンダー平等社会は実現したのか。社会学者でジェンダー研究のパイオニア、上野千鶴子氏に聞いた。

──1985年の「男女雇用機会均等法」成立以降、女性の職場進出は進みました。以来36年。働く女性の地位は上がりましたか。

上がっていない。均等法に男女差別を是正する実効性がないというのが、専門家の共通見解だ。

均等法の施行後、企業は雇用における女性差別を、総合職と一般職という、コース別人事管理制度を導入する“雇用区分差別”に置き換えることで切り抜けた。つまり、前者は100%近く男性プラスわずかな数の女性、後者は100%女性が就職するように仕向け、実態をほとんど変えることなく「機会均等」を実現した。

そして長びく平成不況の間に一般職は解体され、彼女たちは不安定な非正規労働者に置き換えられていく。そして非正規職は、均等法の対象にならない。

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