女性の抱えるジェンダー問題と「仕事中心」の男性の生き方は表裏一体だ。
「男は仕事、女は家庭」という、性別役割分業が根強く残る今の日本社会は、女だけでなく男にとっても生きにくい。男ならではのジェンダー問題に着目した、「男性学」の視点から、男のつらさを読み解いていこう。
2月に森喜朗・元東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長が女性蔑視発言をして以来、ジェンダー平等に対する社会の意識が一段と高まっている。今の流れはSNS上での「#MeToo運動」に端を発する。これまでは問題視されなかったような性差別的言動に対して、女性の側から異議申し立てがなされ、社会全体で共有された意義は大きい。
かといって、多くの男性が心の底から、ジェンダー問題に納得しているとは思わない。危機管理上、しっかり対策すべきだ、という意識は持つようになったかもしれないが、内心「何が悪いんだろう」と思っている人は多いはずだ。
だから日本のジェンダーギャップ指数はなかなか改善されない。働く女性は増えているのに、出産を機に女性が仕事を辞めたり、正社員でも男女で賃金格差があったりする状況は続く。そして、仕事中心の生活でキャリアを積むことができた男性は、森発言のように女性を軽く見るようになる。
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