「悪気はなかった」「昔は大丈夫だった」では済まされない。
何がハラスメントに当たり、そのとき、会社はどう動くべきか。職場でよくあるケースを基に、労働法に詳しい向井蘭弁護士が解説する。
Q1 飲み会の席で男性社員が若い女性社員を「〜ちゃん」付けで呼び、別の社員から人事部に「セクハラでは?」と報告があった。
A 若い女性社員への「〜ちゃん」付けは、広義のセクハラに該当する。違法ではないが、男性社員には注意を促すべきだ。
セクハラとは性的な嫌がらせをすることを指すが、中でも性に関する固定観念、差別意識に基づく嫌がらせや取り扱いをした場合は、「ジェンダーハラスメント」と呼ばれ、広義のセクハラになる。男性社員に悪気はなかったのかもしれないが、若い男性社員には「〜ちゃん」付けをしないのに、若い女性だけを子ども扱いしていると捉えられる可能性がある。
現時点では、ジェンダーハラスメントに関する法令やガイドラインは作られていないものの、人事労務管理上、望ましい行為でないことは明らかである。
Q2 女性管理職が育休から復帰した。出産前は残業が当たり前だったが、今は17時半退勤。仕事が回らず、見かねて管理職を解き、楽な部署に異動させた。すると「同意していない」と本人が激怒してしまった。
A 異動が女性の妊娠・出産、育休などを契機にしたものではないと会社が証明できない限り、マタハラに該当し、違法だ。
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