巨額損失に沈んだ住友商事。強みを生かした5G事業で出直す。
2019年度は米中貿易摩擦、20年度はコロナ禍と、外部環境の悪化に悩まされた総合商社。とくに住友商事の打たれ弱さは5社の中でも際立つ。前21年3月期決算では過去最大となる1530億円の最終赤字に転落した。
世界最大級のニッケル鉱山開発プロジェクトであるアンバトビーや、欧米で青果物の生産・卸売りを手がけるファイフスなどで合計約3510億円に及ぶ一過性損失を計上。大型案件のリスク管理の甘さが大きく業績を下押しした。
この業績悪化を受けて住友商事は、6月に支給する予定だった全執行役員への賞与をゼロに。兵頭誠之社長を含めた9人の経営会議メンバーの月例報酬も4月から半年間、減額すると2月に表明。「襟を正して構造改革を進める」(兵頭社長)覚悟だ。
5月に公表した新中期経営計画(21〜23年度)のコンセプトの1つが、事業における「下方耐性の強化」だ。市況が大きく悪化しても事業から生じる損失を一定の範囲に収めるため、不採算事業からの撤退や資産の入れ替えを加速する。最終年度には「過去最高益である純利益3200億円超を目指す」(兵頭社長)。
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