脱炭素、デジタル化の大波によって商社の根幹を成すビジネスモデルが揺らぐ中、5大商社はどこへ向かうのか。最新序列と激変するビジネスの最前線に迫る。
コロナ禍という異常事態の下、5月上旬に出そろった5大商社の2021年3月期本決算は明暗が分かれた。
商社業界の盟主である三菱商事は、豪州原料炭事業の不調やローソンの減損などで純利益1725億円と前年同期比7割弱の大幅減、4番手に陥落した。住友商事はアフリカのニッケル鉱山をはじめとした複数大型案件の減損損失で、過去最大となる1530億円の最終赤字に転落。一方、かつて万年4位といわれた伊藤忠商事が純利益と時価総額で初の商社トップに浮上。不動とみられてきた5社の序列が大転換を見せている。
もっとも今22年3月期は足元で歴史的な高値をつけている鉄鉱石、銅市況などを追い風に、各社とも業績のV字回復を見込む。カネ余りと業績回復への期待で、足元の5社合計の時価総額は08年リーマンショック直前の水準に並ぶ18兆円台に乗せる。
だが各商社のトップに高揚感はない。伊藤忠の岡藤正広会長CEOは「得意の時こそ危ない。業績がよくなるとすぐ慢心してずっこけるのが伊藤忠の歴史」と社内を引き締める。
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