電子辞書、気が付けばカシオの独壇場 止まらぬ進化、発音確認機能なども

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だが2005年ごろには、学校向けの普及がある程度進行。コンテンツ数も大台の100に到達したことで価格上昇は一服した。また、2010年代に入ると、パソコンの高性能化とスマートフォンの普及で、インターネットを通して手軽に情報を得られるようになった。それにより、電子辞書の需要が侵食されている。

ピーク時の2007年に280万台あった電子辞書の販売台数は、2014年には142万台に半減する見通し。さらに、1992年から電子辞書業界を切り開いてきたSIIが、2015年3月末をもって電子辞書事業から撤退することも決まった。

カシオの営業利益率は20%近くに達する

一方、シェアトップであるカシオの2014年3月期の電子辞書事業の売上高は、約320億円とみられる。営業利益率も20%近い高水準を維持している。価格に関しても、「今後もスマホの影響によって価格が変化することは考えづらい」(カシオ)という。

両社の明暗を分けたのはターゲットの違いだ。SIIが大学生や社会人をメインターゲットとした一方、カシオは中学校や高校向け需要を確保。授業中にパソコンやスマホを使用することはできないため、スマホの侵食から逃れることができた。

機能も拡充が続いている。コンテンツ数は現行モデルで約150。「NHKラジオ英会話」が収録され、発音確認機能がつくなど、文字コンテンツではない形でも利便性を追求している。 

(「週刊東洋経済」2015年1月10日号<1月5日発売>の「価格を読む」を転載)

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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