41歳でプロ棋士に、遅咲き男の「夢と矜持」 挫折の数々、今泉健司さんの定跡外れの人生

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今泉さんは得意の中飛車戦法で勝ちを狙う

――41歳という戦後最年長でのプロ入りですが、ご自身の年齢は意識されますか。プロ棋士でも40代になると棋力が衰えてくるとも言われますが。

年齢は意識したことがないですね。あきらめずに努力していけば、必ず道は開けると思っています。

私の将棋は子どものときに最初に覚えた中飛車戦法が中心。相手の攻めを面倒見よく対処し、最後に勝ち切るパターンを得意としています。プロ入りがかかった第4局の最後の大一番では、そのパターンにはまりました。最初の奨励会時代の師匠である小林健二先生(九段)には今回、「今泉くんは将棋が大好きで、長年苦労してきたから、将棋の神様が合格へと導いてくれたんだね」と言っていただきました。

誰にもできないことを成し遂げたい

――プロ棋士は通常、「順位戦」に参加して昇級・昇段を目指すわけですが、今泉さんの場合は順位戦を指さない「フリークラス」の棋士としてスタートします。順位戦の対局料という安定収入がなく、まさに対局に勝たないと収入が得られない不安定な生活になりがちです。

たしかに収入面でどうなるかなど、まだ良くわからないこともありますが、マイナスに考えても仕方ありません。これからも感謝の気持ちをもって、「明るく前向きに」です。

フリークラスから抜け出して順位戦に参加することが当面の目標になるのでしょうが、自分としてはもっと高みをめざしたい。誰にもできないことを成し遂げたいというのが、自分の夢です。プロ編入試験の合格第一号というのも、その一つかもしれませんが、タイトル獲得などの実績を挙げることができるよう、これからも努力していきたいと思います。

(撮影:今井康一)

三上 直行 東洋経済 記者

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みかみ なおゆき / Naoyuki Mikami

1989年東洋経済新報社入社。これまで電機などを担当。現在は、冠婚葬祭業界を担当。

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