コロナ禍の下で格闘する物件開発や販売現場の動きを追った。
「こんなに売れるとは思わなかった」。住宅業界を取材していると、あちこちでうれしい悲鳴が聞こえる。景気や雇用がむしばまれ、マンションや戸建ての購入機運はしぼむ、という業界関係者の予想はよい意味で裏切られた。大手デベロッパーの東京建物が東京・豊島区で販売する「ブリリアシティ西早稲田」もその1つだ。
モデルルームをオープンした2020年7月下旬、折しも感染拡大の第2波の襲来と重なった。「来場のキャンセルが多発すると思っていた」という、販売を統括する東京建物住宅営業第二部の根本淳一課長の懸念をよそに、キャンセルは数件のみでモデルルームは連日ほぼ満席だった。
申し込みの6割が30代
9月下旬より開始した第1期1次販売では、161戸の供給に対して296件もの申し込みが入り、最高倍率は9倍だ。JR山手線の内側という好立地でありながら、定期借地権という特性もあり3LDKが6000万円台で手に入ることが評価されたという。
活況を演出したのは、申し込みの約6割を占めた30代だ。金融業などコロナ禍の影響が軽微な業種に従事する人が多い。広さ重視の潮流を受けてか、「総額が膨らむため通常なら販売に時間のかかる80平方メートル以上の住戸がすぐに売れていった」(根本課長)。
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