稼いだ金を税金として取られたくない。それは富裕層共通の思いだ。
日本に帰ることを決めたのだが、何かいい方法はないだろうか──。シンガポール在住の40代の男性は、最近、あることで頭を悩ませていた。
この男性は、創業メンバーとして参画した会社が上場。その後、創業者とともに持ち株を売却したことで資産は約50億円まで膨らんだ。そのため、「米国債などで運用するだけで、生活には困らない」としてセミリタイアを決意、シンガポールに移住した。
というのも日本は、相続税の税率が10〜55%と世界的に見ても高いからだ。相続財産が大きければ大きいほど税率が高くなり、男性の場合、税率は55%が適用され、税金として半分以上持っていかれてしまうのだ。
そのため、相続税や贈与税がなく、所得税や法人税の最高税率も低いシンガポールに一家で移住した。
ところがだ。親が認知症を発症し介護が必要になってしまう。また、シンガポールでの生活にも飽きてきて日本が恋しくなり、帰国しようか迷っていた。
そんな折に決定打となったのが2017年の税制改正だった。海外居住要件が変更になり、相続人と被相続人の双方が最低でも10年を超えて海外に住んでいなければ、海外資産に対しても日本国内で相続税が課税されるようになってしまったのだ。
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