車がごく近くまで来るとテキストが届く。いったん目的地に付くと、前述したように料金の支払いは不要。アメリカでは頭の痛いチップの支払いもいらない。そのまま下車すればいいだけだ。
Uberのドライバーは乗車した客の評価で評判を保つため、客の扱いが実にていねいな場合が多い。車内は清潔に保たれ、本人も身ぎれいで愛想がいい。そしてミネラル・ウォーターのボトルを常に準備し、サービスとして客に手渡してくれる場合も少なくない。
乗り心地が悪く、車内も汚く、失礼なドライバーもままいる一般のタクシーに比べると、夢のようなサービス。料金の差もそれほど大きくないので、Uberの便利さとありがたさは、一度利用すると誰にでもアピールするのだ。
強まるばかりの、CEOへの批判
こうしてUberは、創設たった4年にして今や世界200都市以上で運営され、依然として事業拡大中だ。国や都市によっては、地元タクシー会社と衝突したり、規制上の制限にあったりしているのだが、逆になぜ既存のタクシー業界が顧客の便利を考えたこうした便利なサービスを考えつかなかったのかという、発想の遅れを露呈することにもなっている。
そんな意味で、Uberは稀に見る時代のディスラプター(破壊者)と言えるのだ。同社は一部地域でバイク(自転車)によるメッセンジャー・サービスも開始しており、タクシー・サービスを超えてもっと大きなロジスティクスに関心を示し始めている。
ただ、Uberには賞賛ばかりが集まっているわけではない。特に最近批判されているのは、同社共同創設者でCEOのトラビス・カラニックその人である。
カラニックは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校をドロップアウトし、友人らといくつかのスタートアップ企業を立ち上げた経歴の持ち主だ。いずれもピア・ツー・ピア技術に関連したもので、そのうちのひとつは訴訟を逃れるために破産手続きを施し、もうひとつは売却を果たして、同氏は起業家としての成功を収めた。
現在、Uberは180億ドル以上の企業価値評価がついており、持ち株率に基づいて『フォーブズ』誌は同氏を世界の金持ちランキングで190位とした。彼の資産は30億ドルと算出されている。
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