ウォルマート、ZARAが食らった事件の教訓

米国で続いたクレームは対岸の火事ではない

ウォルマートは2014年11月に、全米の小売店の価格に追従すると発表した。つまり、EDLP(everyday low price)戦略の比較対象を、いかなる小売店にも広げると発表したのだ。

しかし、そこで問題となったのはソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション4」だった。通常であれば400ドル、日本円で4万円を超えるこの商品を100ドル程度で購入できるとした偽サイトが立ち上がった。さらにはTwitterを使って90ドルもの安さで購入できたと、なんとご丁寧にレシートまで写真撮影した詐欺サイトまでできあがった。あげくの果てに、マイクロソフトのXbox Oneも100ドルだったというのだ(Xbox Oneも通常なら同じく日本円で4万円を超える)。

そしてウォルマートは、この価格に追従してしまった。たしかに新しいポリシーの下では仕方ない行動ではあったが、偽の詐欺サイトはプレイステーション4やらXboxを販売する前に閉鎖してしまった。
当然ながらその後、ウォルマートはこれら詐欺サイトには追従しなくなったものの、相当な金額を負担する羽目になった。正確な被害額について発表はされていない。ウォルマートはそれら競合のサイトに抗議とともに、「これらの行動は、適正な価格を支払う正直な何百万人の顧客にアンフェアだ」と断じた。

これは単なる笑い話ではなく、情報マッチングの時代において、マッチング先の情報の真偽を調べる必要があると示唆した意味で貴重だった。この話題も「Wal-Mart」「PlayStation 4」「online pricing」などと検索いただければ出てくる。

3つの大事件が示唆するもの

これら3つの大事件は、もちろん、日本と直接関係がなかったために報じられなかっただろう。ただし、商売にかかわる者にはいくつもの重大な教えをくれる。まず、近いうちに日本人が無自覚にデザインする衣料について、いくつかの宗教的・政治的・歴史的なる観点から批判がありうるだろう。その意味で、アーバンアウトフィッターズの起こした事件は他人ごとではない。

そして平等観念は、信じられない速度をもってひとびとに浸透しつつある。もしオールドネイビーが巻き込まれた事件が、単なるクレーマーによるものだと認識するなら、それは時代遅れなのかもしれない。私たちは、性別・国籍・宗教のみならず、体型やライフスタイルに関しても平等意識を強く持たざるをえない。

さらに、インターネットを使ったデータ収集がさかんになるほど、そのデータ先の情報精度把握が問題になるだろう。大手のサイトであっても必ずしも安心はできない。これまで以上に真贋を見極める仕組みが必要となってくるだろう。

アメリカで起きたことは、ほぼ日本でも起きる。とすれば、私たち日本人がこれらの事件を単に外国のものとするのではなく、自国にあてはめて考えるのも意味があることだろう。

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