売上げの大きかったブランドは、1位が六花亭マルセイバターサンドなどを扱う「北海道お土産探検隊」、2位が北海道のカニ弁当を扱う「札幌蟹販」、3位が宇治抹茶を使ったロールケーキや生チョコレートなどを扱う「伊藤久右衛門」。これらの好調の要因を前出の担当者はこう分析する。
「札幌」「京都」、ブランド出身地の知名度が重要
「ブランドのバックグラウンドとなる地方が、進出国の人々から認知されている、もしくは実際に訪れたことのある場所だと強い。日本の中で各地域が良い評判を形成し、それをフックに海外から観光客を呼び込めそう。当社でも今後、楽天トラベルや地方自治体と連携し、インバウンドを促進する施策を検討していきたい」
また、楽天では、英語が社内公用語だ。今回のイベントの成功は「それがなかったら今回の企画もなかったのでは。日本市場が頭打ちとなり、海外進出は『マスト』になっていくが、現実的には社員一人一人の意識を海外に向かせるのはそう簡単ではない。だが、それが公用語化によって変わりつつある。今回のイベントが、英語が実際の仕事に活かされる『原体験』となった社員も多い」(同)。
一方、楽天に出店している事業者の多くも、規模的にはさほど大きくない日本各地の生産者や事業者も多く、独自ではなかなか海外進出が難しい側面がある。そこで、楽天とともに海外販路を開拓し、チャンスを互いに作っていくねらいもあった。
では、実際にどんな売り方がウケたのだろうか。楽天は、イベントスペースを運営する企業と連携して、期間中一度に限り、日本からの追加の空輸を可能にした。越境かつ短期間のイベントならではの急な在庫調整という難しさに、ブランドが少しでも対応するための策であった。このほか、英語で接客するための簡単な台本も用意し、各ブースに貼り付けるなども行われた。
各ブランドも、自主的に商品の売り方について改善を重ねた。北海道のグルメを扱う「島の人 礼文島の四季」は、タコは生食ではなく現地の人が好む揚げものとして売り、「礼文だし」はスープとして飲めるだけでなく、中に麺を入れ食べられるようにした。「食材はそのまま、食べ方はローカライズしたほうがいい」(同)。
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