一方、期間中、途中でパッケージを変えて成功したのは、海鮮丼を振る舞った「築地料亭 竹若」と、札幌蟹販だ。
竹若は当初、かわいらしい「パフェ型」や、外国人に馴染みのある「カリフォルニアロール型」を用意したが、客の反応を踏まえ、日本式のシンプルな四角い箱に戻した。札幌蟹販も同様に、大きな具を目立たせる箱に移すと、売れ行きがとたんに大きく変わったという。
伊藤久右衛門では、あまり甘すぎないロールケーキと大福が売れた。試食できる商品数を増やしたり、自分がブースの前に出て客足を止め、ちょっとした人だかりを作ったことなどが効果的だった。「MOCHI(もち)」という単語が、日本らしさを想起させ興味を引きやすいらしいなどの発見もあり、「(こうしたノウハウを)日本の社内でも共有したい」(同社の担当者)と話した。
ブランド同士が協力、在庫は「福袋」に詰めて「売り切り」
さらに、ブランド同士が協力する場面も見られた。各ブースで30ドル(約3000円弱)以上の買い物をすると、「とみたメロンハウス」のアイスが無料でもらえるという取り組みだ。
イベント後半では、在庫の多い商品を使って、外国人にも人気が高まりつつある「福袋」を作るというアイデアも共有された。客を奪い合うのではなく、全体で盛り上げようという機運は、海外ならではかもしれない。
一方で、初回ならではの課題も多く見つかったという。例えば、札幌蟹販が輸出していたカニは、税関を通過するまでに時間がかかってしまい、イベント開始時に間に合わず、仕方なく現地で調達するハメになった。前出のとみたメロンハウスは加工品でなくメロンそのものを販売したかったが、生ものでかつ季節商品ということもあり、今回は断念した。楽天市場等で「越境EC」を展開するにしても、これは今後克服していかなければならない。
実は、従来の現地記録の3倍以上を売り上げたといっても、イベント単体では赤字。だが、開催期間中、シンガポール楽天市場のサイトへのアクセス数が伸び、またうまいもの大会に参加したブランドの中には、楽天市場への出店を決めたところもあらわれた。こうした成果から、アジア周辺国の現地法人からも、はやくも次回の自国開催を望む声が上がっているという。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら