人の歴史は、すなわち病との歴史。病は社会のあり方を大きく変えてきた。連休中に読みたいベストブックス。
人類が長距離移動を容易にしたのは特筆すべきことだと思う。しかし、新型コロナウイルスの蔓延で、国家間の移動がストップした。国内の移動、そして職場への移動も制限され、私たちが普段の生活で接する世界が一挙に狭くなった。
その一方で、今私たちは情報化社会がもたらす恐怖も味わっている。欧米での感染者や死者の増加、国内でのクラスター発生、そんなニュースが同時進行で目に入ってくる。現代社会では情報を遮断することは困難で、同じ恐怖を世界中で共有する事態となった。
新型コロナウイルスの蔓延はグローバル化の功罪を見つめ直す契機になるだろう。歴史の中で感染症はどう語られてきたのか。それを知ることは私たちが生きていくための道しるべとなるはずだ。
私たちは歴史から何を学ぶことができるのか。まず最初に、それを考えるうえで参考になる1冊を挙げたい。
『気候と人間の歴史・入門』(エマニュエル・ル=ロワ=ラデュリ著、藤原書店、2009年)である。本書では気候が人間の歴史に与えてきた影響、そして未来に与えうる影響が語られる。私たちの過去、現在の行動が未来の社会を大きく揺さぶるのである。その意味では、感染症も同じだ。感染症というものを少し外に置きながら、人間の営みについて考えたい。
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