重症患者をケアする現場では個人防護装備の払底が深刻だ。
「絶対に必要なN95マスクが全然足りない。私たちは仕方なく、同じ1枚を7回のシフトでずっと使い続けている」
ミシガン州北部のある病院の集中治療室(ICU)で看護師として働くAさんは、開口一番そう訴えた。新型コロナウイルス感染症の重症患者のケアを担当する彼女の1シフトは12時間だ。つまり合計84時間もの間、1枚のマスクを使い続けているのである。
なお、この取材は匿名が条件だ。それには深い理由がある。米国ではコロナ医療現場の実態をメディアに実名で伝えた看護師が次々に解雇されているからだ。
「まともな防護装備なしに重症者の看護の現場に送られている。何も手を打たない病院経営陣への怒りで体に震えが来るほどだ」
ICU看護師歴3年、27歳のAさんは「患者さんとその家族にいちばん深く関われるから」と重症患者専門のICU勤務を志した。4月6日までの3週間に4人のコロナ患者の臨終を看取ったが、その最期は通常の臨終とはまったく違っていた。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら