新卒一括採用で学生をゼロから育て、互いに競わせて将来の経営幹部を選抜していく日本型雇用慣行。バブル崩壊後の不況時に学校を卒業したため、このレールに乗り損ね、排除されてしまったのが氷河期世代といえる。
であれば、正社員にこだわり続けるのではなく、企業の雇用社会の外で生きる道を探すのも、1つの選択肢となるだろう。自営業には定年がなく、老後の生活を築きやすいという利点もある。
そうした中で近年、注目されているのが農業などの第1次産業だ。農村の閉鎖性は依然として強いものの、高齢化による担い手不足に危機感を抱き、地域が一体となって新規就農者へ門戸を開くところは全国的に増えている。研修・教育の実施から農地確保の支援、多方面の資金支援と、その内容は下表のように至れり尽くせりだ。就農支援に積極的な大分県を訪れた。
大分空港から車で2時間弱、同県の南端に位置する佐伯(さいき)市は、江戸時代に佐伯藩の城下町として栄えた人口約7万人の地方都市。養殖の「かぼすブリ」や大きなすしネタが特徴の佐伯寿司で知られ漁業が栄えるが、2016年度に始めた「佐伯市ファーマーズスクール」の就農研修者は、4年間で18人と着実な成果を上げている。これといったブランド農産物はない「普通の農業地域」での取り組みだけに逆に注目度は高い。
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