奨学金返済の深い闇、結婚や子育ての障害に ルポ|氷河期世代の返済難は救われない

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田中さんに届いた、身に覚えのない奨学金の返還試算表。年金暮らしに払える額ではない

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週刊東洋経済 2020年1/25号
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返還しなければ法的手続きに入る──。大阪府に暮らす田中道子さん(64、仮名)は、ある日送られてきた手紙に驚いた。身に覚えのない奨学金の連帯保証人になっており、借用金額は480万円。借主は10年以上連絡が取れていない息子(40)だった。

息子は高校卒業後に専門学校に入学。学費は亡き夫の遺族年金などから支払ったが、「家賃は自分で何とかする」と言い一人暮らしを始めたという。田中さんは連帯保証人どころか、奨学金を借りていたことも知らなかった。

慌てて送り主の日本学生支援機構の返還相談窓口に電話をすると、「少しずつでも払える額を振り込んでもらえれば大丈夫です」と返済を促されるばかりだった。

法的手続きという言葉に怖くなり、年金から5000円を工面して十数回振り込んだ。ところが、そのお金は延滞金に充てられ、元金はおろか利息すら減っていなかった。2016年に届いた書類には「元金282万円、利息52万円、延滞金141万円」という残額と、月4.6万円を31年まで払うという返済計画が記されていた。

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