消えたペヤング、何を間違えてしまったのか いまだに原因が特定されないのはナゼ?
ペヤングの騒ぎが大きくなったのは、東日本地域を中心におびただしい数のコアなペヤングファンがいることも原因の一つだろう。もはや「信者」と呼んでもいいほどであり、筆者の親族にも「信者」がいる。ペヤングだけは別次元なのだそうで、他のカップヤキソバと比較してはいけないのだという。だが、冷凍スパ王にはそこまでのファンはいないか、もしくはいたとしてもごく少数だろう。
まるか食品の初動が致命傷になった
では、まるか食品は、ほかの対応策は選べなかったのかといえば、そうではない。危機管理コンサルの専門家は「確かに会社側が把握する前に大騒ぎになってしまったことは不運ではあるが、初動に失敗していなければ、もう少しマシな結果になったはず」という。
12月3日にまるか食品の工場に立ち入り検査を実施した伊勢崎保健福祉事務所は、健康被害が出ていないこと、製造過程で混入したかどうかが不明確であることなどを理由に、回収命令を出さず、社内調査とその結果報告を求めただけだった。
この結果を受け、まるか食品は混入があった製品の自主回収を決めたが、その一方で「製造過程での混入は考えられない」というコメントを出してしまった。だが、件の大学生から回収した製品を外部機関に分析してもらったところ、製造工程での混入の可能性が否定できない」という結論が出てしまった。
前出の危機管理コンサルの専門家は、「日本国内の食品工場を一度でも見学したことがある人なら、あの厳重な衛生管理をすりぬけてゴキブリが混入するとは考えられないと思うのが普通。我々もこういったケースで相談を受けたら、まず疑うのが外部から意図的に持ち込まれたケース」だという。
ただ、「それを外に向かって言っていいかどうかは別問題」だという。1年前、アクリフーズの冷凍食品から農薬が検出された例を引くまでもなく、「外部から持ち込まれた場合でも、持ち込んだ当事者は正社員にしろパートにしろ、いずれにしても自社の従業員である可能性が高い。そうなれば使用者としての責任は会社側ということになる。だから、原因が特定できるまでは、製造過程での混入は考えられないなどと、ホンネを漏らしてはいけない」のだという。
確たる証拠がなければ犯人を特定することも困難であることは言うまでもなく、従業員の不正発見のために工場内に監視カメラを設置するにしても、限界がある。この専門家は「ペヤングの件があってから、監視カメラの増設を検討する食品工場が増えていると聞いている」という。
性悪説に立って従業員の監視に莫大なコストがかかる欧米企業に対し、性善説に立って従業員の監視コストが安いことが日本の製造業の強みとされてきた。
今回のゴキブリ混入の原因が何だったのかが未だに解明されていない。ということは、まるか食品の監視態勢がそもそも脆弱だったのかもしれない。あるいは衛生管理自体がずさんだった可能性もあるのだろう
いずれにしても、食品工場の経営者が真っ先に疑うのが、「外部からの持ち込みの可能性」なのであれば、日本の工場も今後は性悪説に立った従業員監視が強化されていくことになるのかもしれない。
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