あいおいニッセイ同和、英社買収の裏事情 欧州で先進分野に参入も、国内での立場は微妙

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自動車保険では、若年層や走行距離が長い人は、保険料が高いのが一般的。しかし、PHYD型では良好な運転をしている人ならば、走行距離が長くても、年令が若くても、低い事故率に応じて割安な保険料で済むという合理性がある。

PHYD型は英国では自動車保険全体の5%まで普及が進んでいるが、日本に比べても高い保険料を支払わされていた若者層からの支持で伸びている。自動車保険で世界最大の米国でも、プログレシブ社がすでにこの保険を年間100万台相当、金額にして20億ドルにまで伸ばして気を吐いている。

日本市場はPHYD型の導入遅れる

これに対し、日本では、PHYD型の保険の普及は遅れている。走行距離に応じた割安保険料を提示するPAYD型では、ダイレクト損保(通信販売損保)会社がシェアを着実に伸ばしてはいるが、通信機能をもった端末を搭載したテレマティクス保険には進化していない。

リテール自動車保険に強いあいおいニッセイ同和は、このテレマティックス保険に熱心に取り組んできた。04年にはトヨタの車載端末「G-BOOK」を搭載して走行距離を取得するPAYD型の保険を発売し、現在は、トヨタの双方向通信が可能なテレマティクスサービス「T-Connect」に特化した専用保険を、来年の発売をメドに開発中である。それでも、端末料金が高く、本格普及には高い障壁があるのが実情だ。

そうしたなかで、ブレークスルーの可能性を秘めたPHYD型自動車保険が日本でも離陸しようとしている。ソニー損害保険が15年2月に投入する「やさしい運転キャッシュバック型」だ。

これは、ライバル他社が揶揄するように、端末が通信機能は持たないので正確にはテレマティクス保険とはいえない。しかし、ユーザーが簡単に装着できる無料小型計測器を使って急発進・急加速などを実測、その数値で保険料を最大2割まで割り引くという商品性は日本においては画期的である。

こうした流れから、あいおいニッセイ同和の今回の英社買収も、当然に、日本のテレマティクス保険市場の本格育成への布石か、との見方が出ている。しかし、実際はそうではなさそうだ。

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