鹿島に社長交代の芽、20余年ぶりの“大政奉還”実現か?


 今後、建設業界を待ち受ける厳しい局面を打開するにはリーダーシップが必要で、温厚で控えめな野村氏よりも、若くて意見をはっきりと主張できる中村氏が適任、という側面もある。中村氏が会長を務める土工協は、全国の都道府県にある地場の建設団体とも交流する機会が多い。09年4月からここの会長として奮闘している中村氏は、公共工事のあり方などについての持論を明らかにしてきた。

なお、中村氏が鹿島会長になれば、現会長の梅田貞夫氏(野村氏の一代前の日建連会長)は今年3月で77歳という高齢でもあることから相談役に退くとみられる。また、注目の後継社長は、従来の伝統的な路線を継承しつつ、海外で建築受注や不動産開発の事業拡大に打ち込めるグローバル対応が可能な人材が求められよう。

その点で打ってつけは、国際畑で、61歳と適齢期の渥美直紀副社長。また、今年3月に52歳となる石川洋専務の大抜擢もありうる。渥美副社長は鹿島の元名誉会長、渥美健夫氏(故人)の長男で、石川洋専務は同じく元名誉会長で日本商工会議所元会頭の石川六郎氏(同)の長男。両氏は、中興の祖である鹿島守之助の孫に当たる創業家出身だ。
 
 鹿島は、この20年余にわたり、非創業家出身の3名が社長を務めてきた。創業家への“大政奉還”となれば、現・取締役相談役の鹿島昭一氏が、官僚出身の宮崎明氏(故人)に社長の座を譲った1990年以来の出来事となる。

現在の鹿島の取締役は、渥美直紀氏、石川洋氏のほか、80歳の鹿島昭一相談役、その子息で40歳の鹿島光一氏と、全9名中4名が守之助氏の直系。社外取締役はいない。ちなみに、渥美直紀氏の義父は元首相の中曽根康弘氏。こうした鹿島経営陣の閨閥の“威力”については業界他社の幹部も舌を巻いており、「他社の追随を許さない営業力の源泉」といった声も上がっている。

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(古庄 英一 撮影:尾形文繁=東洋経済オンライン)

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