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幕末の政治争点は尊王攘夷vs.公武合体ではない 将軍も諸藩も「公武合体」は自明だった

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長州藩は下関海峡で外国船を攻撃し、逆に鎮圧された。写真は砲台を占拠する外国人兵士。これを機に長州藩は開国へと転じた(近現代PL / アフロ)

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幕末は、日本史の中でも戦国時代と並んで人気のある時代である。テレビや小説でもよく取り上げられ、国民的な常識ともいうべき「語り」が存在する。新撰組しかり、倒幕に活躍する志士たちしかりである。

だが、歴史学から吟味すると、これらの言説の中には、明確な誤りだったり、簡単に肯定できなかったりするものが多分に存在する。

教科書に登場する言葉(キーワード)にも、誤解されているものが少なくない。その代表例が、「尊王攘夷」と「公武合体」である。この二つは長く誤解が続いている。幕末史の常識とされてきた事柄を問い直してみたい。

まず尊王攘夷論とは、「尊王」と「攘夷」の結合によって国家の統一性を強めようとする考え方であり、文久年間(1861〜63年)には、外国を打ち払い、条約を破棄しようとする運動として展開された(尊攘運動)。また、公武合体とは、朝廷と幕府の協調を軸にした政治体制を指す言葉である。

「尊王攘夷」と「公武合体」は対立するというとらえ方が広く浸透し、現在もそのように考えている人は多い。一部の教科書にも、「公武合体路線と尊王攘夷路線の対抗」という記述が見られる。

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