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日本人はなぜ西郷隆盛を論じてしまうのか 『南洲翁遺訓』の放つ存在感

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NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」を意識しているからか、昨年だけで100冊以上の西郷隆盛関連本が出たという。今年は明治維新150年。活躍した人物は山ほどいるが、なぜか西郷の独り勝ちだ。

しかも日本のインテリは西郷に言及することが多い。福澤諭吉はもちろんのこと、「東洋のルソー」として知られる中江兆民、さらに三島由紀夫や司馬遼太郎までが、西郷を絶賛、あるいは否定的な言葉を残している。

西郷隆盛(近現代PL / アフロ)

ところが最も有名な『西郷南洲翁遺訓(なんしゅうおういくん)』が、本人の著作ではない。戊辰(ぼしん)戦争で官軍に敗れた庄内藩(山形県)は、苛酷な処置を覚悟していたが、寛大な処置で済んだ。それは敗軍を思いやる西郷の指示だとわかった。感激した庄内藩士たちは西郷に心酔し、薩摩に出向き教えを請うた。その言葉を集めたのが、『西郷南洲翁遺訓』というわけだ。

この『遺訓』、極めて薄い冊子であるが絶大な影響力を持っている。決して大げさな表現ではない。この小冊子を片手に歴史をたどると、まるで維新以降の歴史街道のガイドのような役割を果たすのだ。

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