ビジネス界出身の歴史通が選ぶ日本史の傑物4人。広い視野を持ち、経済を重視し、権力者としての手腕にも優れる──。いずれも魅力的な人物ばかりだ。
日本史を彩る傑出した人物は誰かといえば、まず次の4人を挙げたいと思います。いずれも魅力的で、人物もユニーク。平清盛と足利義満、織田信長、そして大久保利通です。彼らがなぜ面白いのか、これからご紹介しましょう。
武家政権の形をつくった平清盛
まず、平清盛。武家政権の祖形をほとんど全部作った人です。警察権と軍事権を掌握して、京都から離れた福原から政治を動かした。のちの守護や地頭に当たるものを置いてもいます。その後の鎌倉幕府はすべて平清盛のコピーです。さらに特筆すべきは、日宋貿易を始めて宋銭を輸入したことです。
当時の日本の人口は600万、1人当たりのGDPも中国の半分ぐらいでした。しかも、当時は荘園公領制で、土地本位の経済だった。それまで和同開珎(わどうかいちん)など通貨を発行したことはありましたが流通量が限られ、実質的な貨幣ではなかった。いわば、見せガネでした。
では、誰に見せるためだったかと言えば、中国や周辺の国に対してです。「日本も“カネをつくる”ほどの国力があるのだ」と対外的にアピールするだけで、誰も使わなかった通貨だったんです。
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