あのITの巨人は、もともと石鹸会社だった! WIPROのトップは社会貢献にも熱心

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そして1980年代にWIPROは、当時インドでは初期段階にあったパーソナルコンピュータ産業にフォーカスを置く。自社製コンピュータ開発に取り組み、1981年には完成品の販売を開始した。その後の一連の製品によってWIPROはインド初のコンピュータメーカーとして有名になるが、これがその第1号。WIPROは米国企業からライセンスを受け、インド初のコンピュータ製造を開始したのだ。

こうしてWIPROは、インドで3番目に大きいシステム統合サービス企業となった。2014年3月時点での従業員数は14万7400人で、61カ国に拠点を置いている。2014年3月時点の企業の株式時価総額はおよそ200億ドルに及ぶ。

成長持続の4要因

同社を分析すると、WIPROは4つの戦略で成長してきたことがわかる。まず第1点は、自社製品への継続的な投資を行うための本業の成長だ。2点目は積極的な企業買収。国内外を問わず、チャンスがあれば企業買収を行っており、2013年には17件目の買収を行っている。3点目は、せっけんや油にとどまることなく、医療、金融、エンジニアリングなどつながりの薄い分野にまで大胆に多角化したことだ。4点目が、欧米一流企業との合弁会社を積極的に設立し、そのノウハウを吸収したことだ。

アジム・プレムジ氏は、富豪であるにも関わらず、質素なライフスタイルを貫いている。飛行機はエコノミークラスで移動し、豪華なホテルではなく会社の宿泊施設に泊まることを好む。本人曰く、いちばん幸せに感じるのは、ハイキングをしたり、読書をしたり、自身が設立した慈善財団「アジム・プレムジ財団」について議論することだという。

アジム氏はこの財団に、20億ドル相当の株式を寄付している。同財団の目的は、「政府および社会のその他関連部門との積極的なパートナーシップによって、明らかになった社会問題に目に見える影響を与えることを目指す」というもの。とくに「インドにおける初等教育の一般化という理念に専心」とうたわれている。

2001年以降、同財団は、熱心な250人を超える専門家と何百人もの有給ボランティアを通じて、13州の2万の学校で250万人の生徒に関わってきた。これにより、主に農村部の学校で、一般教育の質の向上に成功。フォーブス誌は、慈善活動という点でアジム氏のことを「インドのビル・ゲイツ」と名付けた。

メディアのインタビューで、アジム氏は「禅を経営に生かしている」といい、若い起業家に対しては、「コアとなる強みを信頼すること」「謙虚さの重要性を知ること」「優秀性を求めること」「逆境でも決して諦めないこと」などをアドバイスしている。

帝羽 ニルマラ 純子 インドビジネスアドバイザー

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ていわ にるまら じゅんこ

インド共和国・バンガロール生まれ。法政大学大学院修了。来日以来14年間で、日印コンサルタント会社起業を経て、現在インドビジネスアドバイザーとグローバル人材トレーナーとして活躍。著書には、2013年にインドの諺について日本語で解説した『勇気をくれる、インドのことわざ』がある。インドの諺を日本語で紹介する本の発行は、長い日印の歴史でもこれが初。2014年には『日本人が理解できない混沌(カオス)の国 インド1―玉ねぎの価格で政権安定度がわかる!』 『日本人が理解できない混沌の国インド2―政権交代で9億人の巨大中間層が生まれる』発行。

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