処方箋争奪戦が勃発! 火種は調剤ポイント 

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新たな再編の引き金となるか。ドラッグストアで処方箋薬の支払い時にポイントを付与するサービスが広がっている。2010年10月、最大手マツモトキヨシホールディングスとスギホールディングスが相次ぎ開始、11月にはツルハホールディングスなどが続いた。

ただ、大手各社が一斉に導入したにもかかわらず、チラシ広告や宣伝はいっさいなし。新サービスにしては、静かな船出となった。

大手を振って宣伝できない理由は、処方箋薬の値引きが禁止されているからだ。健康保険法では調剤医療費のうち、患者が自己負担として支払う1~3割は「減免」、つまり値引きができない。このため、ポイントを利用して処方箋薬を安く購入するだけでなく、処方箋薬の購入に応じてポイントを付与するのも違法の可能性があると考えられ、ドラッグストアも自制してきていた。

ポイントは値下げ? 猛反発する薬剤師会

ところが、10年11月に状況が一変。厚生労働省が「調剤に競争原理が働くのは望ましくない」としながらも、自己負担分へのポイント付与を「規制する法律はない」との見解を示したのだ。これがお墨付きとなり、各社が調剤ポイントを続々と開始。「導入から1カ月で調剤の新規顧客が500人増えた」(ツルハHD)と、滑り出しは悪くない。

12月には業界団体の日本チェーンドラッグストア協会も「ポイント付与を否定しない」と発言。多くの企業に倣い、支払い価格の1%をポイント適正基準として示した。

これに対して、日本薬剤師会と日本保険薬局協会は猛反発。「結果的に値引きになる可能性がある」(日本薬剤師会の山本信夫副会長)と主張する。調剤費用は国民医療費の一部で、国民に公平に与えられるのが原則。競争原理に基づくポイントサービスはなじまないとの解釈だ。

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