メキシコで自動車産業が最も集積するグアナファト州。マツダやホンダに続き、2019年にはトヨタ自動車がここで新工場を稼働させる予定だ。4月29日-5月6日合併号の「トヨタの焦燥」では同州で繰り広げられている官民の思惑をリポートした。ミゲル・マルケス州知事は、トヨタ進出や米トランプ政権の影響をどう見ているのか。誌面には載せきれなかったインタビュー全文をお送りする。
──トヨタ自動車が工場を新設します。グアナファト州を選んだ決め手は何だったと考えていますか?
われわれとトヨタが15年にわたって培ってきた信頼が大きい。大多数のメキシコの州や市町村では3年や6年で政権が代わるたびに産業関連の政策が大きく変わる。グアナファト州はPAN(国民行動党)が20年前から政権を握っており、(任期が6年の)州知事が交代しても、中長期のプロジェクトを引き継いでいる。自分も10年前に合意された政策を守っている。約束が守られていることが企業からの信頼につながっているのではないか。
加えて、グアナファト州はメキシコの中心に位置し、メキシコの中で最も交通が便利だ。陸上輸送であれば、米国との国境まで9時間、国内の主要な港まで5時間で到達できる。2つの鉄道も州内で交わっている。
──トヨタの進出に対し、州政府はどのようなサポートをしていますか。
トヨタには600ヘクタールの土地を寄付した。メキシコ連邦政府とともに電力や天然ガスといったインフラの整備を行う。また、新工場の近くには高速道路や鉄道が通っているので、これらにアクセスしやすくする。人材育成も支援する。州には各都市に28の職業訓練センターがあるが、そのうちの1つをトヨタ向けに拡充することを決めたばかりだ。トヨタが必要とする職業訓練のプログラムを整え、操業開始の1年前から訓練を行えるようにする。
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