【産業天気図・電子部品】年内堅調でも半導体の需給軟化で来期調整か

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デジタル家電や携帯電話など旺盛な需要増に支えられ、電子部品業界は2004年度中は堅調な動きを見せそうだ。とはいえ、年明けから2005年度上期にかけての受注動向には不透明感が残る。昨年からの好調はやや鈍化し、売り上げ成長が1桁台か、あるいは足踏みする局面に移りそうだ。「晴れ時々くもり」の展開が予想される。
 9月に発表された「世界半導体市場統計」の7月の半導体の世界販売動向は、3カ月平均で180億ドルと前年同月比で37.9%増を示した。だが、前月比では1%の微増にとどまっており、成長鈍化が鮮明になった。また、世界最大の半導体メーカーである米インテルが、7~9月期の売上高を下方修正するなど、急成長を遂げてきた世界の半導体業界が調整期に入ったことが鮮明になった。
 デジタル家電や携帯電話の出荷増により、DRAMやフラッシュメモリなどのメモリ製品は長期間、価格安定が続いていた。だが、各半導体メーカーが増産投資を進める中で需給も緩和、価格も下落し始めている。
 とはいえ、この需給軟化は各メーカーとも織り込み済み。東芝の場合、今年4月末時点でフラッシュメモリの価格下落を想定しており、通期では半導体事業部門の営業減益を覚悟していた。2000年のITバブル崩壊で需給バランスの悪化を招いた苦い経験が各メーカーには依然として残っている。
 半導体以外では、たとえばアルミ電解コンデンサーやプリント配線板などは、DVDやフラットテレビの販売数量増が追い風となっている。日本ケミコンや日本CMKなどは、上期の期初計画を増額、通期でも増額となる可能性が強い。
 ただ、電子部品業界を支えているのは、今でもパソコンや携帯電話端末。携帯電話をメーンとする電子デバイスを中心に秋口からの生産調整が予想され、減速感は否めないだろう。セラミックコンデンサーの太陽誘電の場合、今秋の携帯電話・パソコン向け受注の急回復に期待しているが、上期の計画未達分を穴埋めするまでには至らないようだ。
【山田俊浩、清水伸明記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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