JT小泉社長、「ルーブル暴落は想定外だ」 たばこシェア3割超のロシア市場がピンチ

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小泉社長は、アジア・アフリカ市場を開拓して、ロシアへの集中を軽減させる考え(撮影:梅谷秀司)

「ルーブル安と一口に言っても、2つの影響がある」と小泉社長は話す。第一に、輸入している原材料の高騰がある。ロシアで生産・消費されるたばこは、原料となる葉たばこをドル建てで輸入している。また、フィルターや巻き紙、セロハンなどもかなりの量をユーロ建ての輸入に頼る。そのため、ルーブル安になれば原価率が上がり、業績にはネガティブに働く。

第二は、為替換算上の業績への影響だ。ロシアで販売されたたばこの利益は、ルーブルで得られる。それを決算として集計する際には、ドルに転換する。ルーブルが安くなると、ルーブルベースでは同じ売上高を稼いでいたとしても、ドルに転換した場合の売上高や利益が小さくなる。

15年以降の業績への悪影響は必至

「ドルに対して1%現地通貨安になれば、営業利益が5000万ドル押し下げられる」(小泉社長)といい、そのうちルーブルによる影響が約半分を占める。つまり、1%ルーブル安になれば、30億円弱営業利益を圧迫する。14年12月期への影響は軽微とみられるが、15年以降の業績へのマイナス影響は必至。ゴールドマン・サックス証券は、円安による利益押し上げ効果より、ルーブル安の利益押し下げ効果が大きいと判断。12月17日付で15年12月期の営業利益予想を900億円減額して5786億円に変更(14年1月~12月期の営業利益会社計画は5860億円)、JT株を「買い推奨」から削除した。

「ロシア・ウクライナ問題や経済制裁でルーブル安のトレンドにあることを念頭に経営を続けてきた。しかし、今般のルーブル安と言うよりは暴落というような事態はさすがに想定外だった」と小泉社長は話す。今後はM&Aなどを駆使しながら、アジアやアフリカなど新興国マーケットの拡充を図り、ロシアへの地理的集中を軽減させたい考えだ。

いまや海外で収益の過半を稼ぐJT。グローバル企業だからこそ引き受けなければならない試練の日々は、始まったばかりだ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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