富士通・山本社長「IoTは、やった者勝ち」 2016年度パソコン・スマホで1兆円目指す

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PC事業については、「PC(販売)の絶対数は若干減り気味だが、タブレットは予想以上に早いスピードで伸びている。ノートPCとタブレットを合わせると成長している」と分析。タブレットを活用したBtoBのビジネスが立ち上がっていることも明るい材料だとした。同時に、IoTの需要を吸い上げる新製品については、「ウェアラブル端末はやっていかないといけないと思うし、(IoTの)大きなサービスの中で目玉になるのではないか」と、開発に力を入れる方針だ。

携帯電話事業は今期黒字化へ

富士通がIoTで期待する分野は、医療・健康関連や農業関連と幅広い。農業関連ビジネスを例に出せば、センサー技術などを使って、肥料や水やりを自動的にできる「スマートアグリ」構想を進めている。山本社長は「IoTは数がまとまらないとできないサービスではない。先にサービスを作った方が勝っていく」と、スピード感を持って開発に取り組む必要があることも指摘した。

富士通の13年度の売上高は約4兆7600億円、これに対して営業利益は約1400億円と、営業利益率は約3%の水準。16年度が最終年の中期経営計画で掲げる、営業利益2500億円、営業利益率5%以上の目標を実現できるかは、IoT関連市場での躍進を果たせるかにかかっているといっても過言ではない。

投資負担が大きく、長年の懸案だった半導体事業は新会社の設立などで、構造改革が一段落。前期は競争激化などの影響で赤字に転落した携帯電話事業も今期は黒字化する見通しだ。今後はIoTなど新たな分野で存在感を高めることで、いかに利益水準を引き上げられるかが課題になってくる。就任から5年半を数える山本社長は、富士通の成長を加速させられるか。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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