「磯丸水産」上場で過熱する、海鮮居酒屋戦争 首都圏の駅前で"磯の香り"がつばぜり合い

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海鮮丼はシニア層に人気だ

出店ペースが加速したのは、親会社のクリエイト・レストランツ・ホールディングス(CRH)の存在も大きい。

同社は郊外のショッピングセンター(SC)を主な出店先とし、和洋中のビュッフェ形式の飲食店を展開してきた。だが、駅前など路面店の進出が遅れていたことから、2013年4月にSFPを買収。居酒屋の運営ノウハウを吸収することによって、SC依存からの脱却を狙った。

SFPにとってもCRHの出店ノウハウ獲得や食材仕入れの共通化というメリットがあった。「商品戦略など経営のコアな部分についてCRHは口出ししない。規模拡大に向けた後押しをしてもらっている点が大きい」(佐藤社長)。

今回の上場で調達する127億円のうち、85億円を新規出店費用に充当するが、その大半は磯丸に充てる。今2015年9月期は前期を上回る40出店を計画。「将来的な全国展開も視野に入れ、規模拡大を図っていく」と、佐藤社長の鼻息も荒い。

競合他社も出店攻勢

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店内の生け簀には、魚介類が豊富に取りそろえられている

とはいえ、ライバル勢も黙って見過ごしているわけではない。海鮮居酒屋「はなの舞」を展開するチムニーは、2013年9月に「豊丸水産」という新業態を立ち上げた。磯丸と同じく浜焼きを売りとするが、魚介だけでなく、肉類のメニューを充実させた。現在の40店を発射台に、2015年12月までに80店体制を目指す。

地鶏居酒屋「塚田農場」を展開するエー・ピーカンパニーも、海鮮居酒屋「四十八漁場」の出店に注力している。客単価は4000円と、磯丸や豊丸の3000円弱に比べ高めに設定。漁師と直接契約することで幅広い魚種を提供する点が売りで、浜焼き業態とは一線を画す。現在は都内を中心に16店の展開にとどまるが、2年後には50店体制を築く計画だ。

今や居酒屋業界を牽引する感もある海鮮系業態。だが、過剰なペースで出店が続けば、不採算店が増えるおそれもある。市場動向を見極めた店舗展開をできるかが、海鮮居酒屋の行く末を左右しそうだ。

(撮影:尾形文繁)

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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