有料会員限定

身近に役立つミクロ経済学をマスターしよう 行動経済学やゲーム理論で人間心理が丸わかり

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 最新
拡大
縮小
安田洋祐 大阪大学大学院准教授
やすだ・ようすけ●1980年生まれ。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学でPh.D取得。編著に『学校選択制のデザイン―ゲーム理論アプローチ』など。(撮影:今井康一)

特集「経済の新常識」の他の記事を読む

経済学的知見が一国の政策や国民の生活に取り入れられてきたことは間違いありません。近年ではマクロ経済学よりもミクロ経済学の知見のほうが、より積極的に役立てられているように感じます。

それにはマクロ経済学という学問自体の性質も影響しているでしょう。金融・財政政策の基本的な問題に対してですら、専門家の意見はなかなか一致しません。その背景にはマクロ経済学で扱う問題の多くがさまざまな要素が絡み合っていて複雑なうえに、実験も実証も難しいという事情があります。

これに対して、今日のミクロ経済学では、実験・実証が可能な問題を扱うことが珍しくありません。たとえば、開発途上国で風土病を根絶するためには蚊帳や予防薬を有料にすべきか無料にすべきか、という問題に対して、現実の集落・地域をランダムに選んで異なる政策を行い、その効果を直接比較するといった研究が行われています。こうしたフィールド実験に加えて、学生などの被験者を実験室に集めて仮想的なゲームや制度をプレーしてもらい、理論の当てはまり具合をテストする、といった経済実験も盛んです。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
経済の新常識
日銀vs内閣府、統計論争の結論はどうなった
毎月25日から月末に調査、翌月6営業日発表
値上げ効果一巡で息切れ、特売が価格を下押し
考えるのが景気か相場かで、見る指標が異なる
あらゆる仕事の基本となる統計理論をマスター
景気動向はこの3指標をチェックすれば大丈夫
経済学の大家、吉川洋・立正大学教授が憂う
必要なのは「期待」よりアニマルスピリット
ケインズ「不確実性」を否定する現在の主流派
行動経済学やゲーム理論で人間心理が丸わかり
国債保有多いゆうちょや信金・信組に要注意
3年前からすでにマーケットの様相は様変わり
三菱東京UFJ特別参加者返上もボディブロー
日銀OBの岩田一政氏、須田美矢子氏がしかる
17年度中に物価上昇率2%達成ならどうなる
物価下落に逆戻りでいよいよ正念場の金融政策
総額28兆円の大型経済対策に根拠はあるのか
リーマン後大盤振る舞いも先進国最低の成長率
円高がここまで進んだ理由を経済理論で考える
いまや外国人投資家に代わって株式市場の主役
安倍政権は非常時対応から構造改革に転換せよ
日銀の「総括検証」で金融政策はこう変わる
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内