
経済学的知見が一国の政策や国民の生活に取り入れられてきたことは間違いありません。近年ではマクロ経済学よりもミクロ経済学の知見のほうが、より積極的に役立てられているように感じます。
それにはマクロ経済学という学問自体の性質も影響しているでしょう。金融・財政政策の基本的な問題に対してですら、専門家の意見はなかなか一致しません。その背景にはマクロ経済学で扱う問題の多くがさまざまな要素が絡み合っていて複雑なうえに、実験も実証も難しいという事情があります。
これに対して、今日のミクロ経済学では、実験・実証が可能な問題を扱うことが珍しくありません。たとえば、開発途上国で風土病を根絶するためには蚊帳や予防薬を有料にすべきか無料にすべきか、という問題に対して、現実の集落・地域をランダムに選んで異なる政策を行い、その効果を直接比較するといった研究が行われています。こうしたフィールド実験に加えて、学生などの被験者を実験室に集めて仮想的なゲームや制度をプレーしてもらい、理論の当てはまり具合をテストする、といった経済実験も盛んです。
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