
三菱自動車への出資を決めたとき、カルロス・ゴーンは、いつになく興奮していた(撮影:今 祥雄)
「さすがはゴーンさんだ。普通の経営者では到底決断できない」(自動車部品メーカー首脳)
三菱自動車の軽自動車の燃費不正発覚からわずか3週間の5月12日。日産自動車が2370億円を三菱自に出資して34%の株式を握り、筆頭株主になる。燃費不正問題の全容解明途上での電撃発表は、自動車業界に衝撃を与えた。
絶妙だった。その出資比率も、タイミングも。関係者の多くが、日産社長兼CEOのカルロス・ゴーンの決断にうなった。
「ミニマムな出資比率で、経営の実質的支配権という最大限の効果を得ようとしている」とナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリストは、ゴーンの判断が極めて戦略的だったと評価する。
34%の出資比率は株主総会の特別決議を単独で阻止するにとどまる。しかし三菱自の主要株主である三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の三菱3社から、日産との資本提携後も合計20%超の株を持ち続けるという合意を得た。日産と三菱グループが過半数の株式を握ることが狙いだった。過半数あれば株主総会の普通決議を成立させられ、影響力を持つことができる。
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら