「寝耳に水だ」──。先月25日、自動車部品大手・カルソニックカンセイ(カルカン)の中村克己会長は、こう答えた。親会社の日産自動車が保有株売却を計画中と、報じられたことを記者たちに尋ねられての反応だった。
しかし、会長のコメントを額面どおりに受け取る人は少なかった。カルカン株売却は以前から日産内外で話題に上っていたからである。
カルロス・ゴーン氏が系列部品メーカーの「解体」に乗り出したのは1999年。それまで保有していた1394社の株式の大半を売却した。
今年3月には残った会社のうちの1社、鬼怒川ゴム工業が日本政策投資銀行によって買収される見通しとなった。日産車体、愛知機械工業、ジヤトコの3社は車体、エンジン、変速機製造という中核的な役割を担う連結子会社で売却はできない。事実上、カルカンは最後に残った1社だった。時間の問題であり、三菱自動車株取得の資金手当てのタイミングが重なった。
カルカンの日産向け販売比率は8割に及ぶ。業績への悪影響が懸念され株価は一時10%下落した。
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