東南アジアの自動車市場が苦境にあえいでいる。2016年はASEAN(東南アジア諸国連合)の主要市場であるタイ、インドネシア、マレーシアが昨年に続き台数減となる見通しだ。

各国の共通要因には、中国経済減速による自国景気の悪化がある。次は米国の利上げだ。自国通貨安が進んだことにより、輸入車・輸入部品の値上がり圧力を受けている。そのうえに各国固有の事情が重くのしかかっている。
タイは4年前に行った新車購入補助政策の反動に今も悩まされる。タイ政府は11年、タイ洪水の復興策の一環で、最初に新車を購入する際、期限付きで税金・金融面で優遇する枠組みを導入した。翌年の新車販売は前年比8割増となった。
しかし副作用も大きかった。需要を先食いしただけでなく、信用力の低い消費者までもがローンを組んで新車購入に走ったため、家計の過剰債務が表面化した。金融機関は新規の融資に及び腰となり、ローンを払いきれず新車を手放す消費者も相次いだ。中古車市場はダブつき、中古車価格は軟化した。結果的に新車需要回復は抑制されている。
インドネシアでは石油、天然ガス、石炭を生産する資源国という特性が影響している。資源価格の急落を受け、同国のGDP(国内総生産)成長率は5年連続で減速が続く。現地で最も人気の高いMPV(ミニバン、SUVなどの多目的車)部門は昨年、前年比で2割も販売が下落した。
堅調なのは、「ローコスト・グリーンカー(LCGC)」とくくられる低価格車ぐらい。だがLCGCは100万円を下回るモデルが中心で、1台当たりの利幅も薄い。
「本来MPVを買う余力のある消費者層ですら、景気の先行き不安を感じてLCGCに流れている」(フロスト&サリバンの本多正樹・コンサルティングディレクター)
この記事は有料会員限定です
残り 641文字
